【J-EURO】TRY ME~私を信じて~ / 安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S(1995)

 平成を代表する女性ヴォーカリスト、安室奈美恵。1992年にSUPER MONKEY'Sの一員としてデビュー。グループのボーカリストとして存在感を高め、1995年にソロアーティストとしてのキャリアを踏み出した。

 安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S名義でリリースされた「TRY ME~私を信じて~」は安室にとって初のユーロビート作品。楽曲プロデュースは松浦勝人(現エイベックス株式会社代表取締役会長CEO)、サウンドプロデュースはA-BEAT C RecordsのDAVE ROGERSが手掛けた。総合スポーツ用品企業、ミナミスポーツとのCMタイアップも行われ、最終的に70万枚以上を売り上げた。

 この楽曲は安室に向けて書き下ろされた楽曲ではなく、プライム・ディレクションのストック楽曲の中から選ばれたものであった。原曲に相当する「TRY ME」は、安室が歌う日本語版リリースと同時期に、A-Beat-C Recordsのヴォーカリスト、LOLITAのシングルとアルバム、および『SUPER EUROBEAT Vol.50 ANNIVERSARY NON-STOP MIX~GREATEST HITS 50!!』収録曲(しかも1曲目!)としてリリース。その後は『SEB』のリクエスト・カウントダウン盤には何度も選出される人気楽曲へと成長し、90年代のユーロビートを代表する作品として知られるようになった。


 ユーロビートの新曲としては破格のプロモーション活動が行われた「TRY ME」。エイベックスの歴史においても重要な楽曲として位置づけられている。その社史には次のようなエピソードが紹介されている。


 『平(注:ライジングプロダクションの平哲夫)との話の流れから、ある日、松浦の目の前に沖縄の少女たちが現れる。その中の一人が、安室奈美恵だった。「初対面の印象は、すっごく子供でしたね。たぶんまだ、14歳か15歳。でも、踊りは踊れるし、僕が想像していたよりも、歌もはるかに上手かった」だからといって、「この子はいける!」という特別な感触はなかったという。他のプロダクションのタレントで、レコード会社も東芝EMIだったので、正直に言えば、松浦は気が入っていなかった。ただ、歌は上手いと感じていたので、プライム・ディレクションのストックのなかでも自信があった1曲を提供した。それが、「TRY ME~私を信じて~」だった。「小室さん(注:小室哲哉)がtrfをやりだしたときに、僕は自分で制作をやろうと思って、安室奈美恵をやったんです。安室奈美恵に「TRY ME~私を信じて~」をユーロビートで歌わせた。その辺から、エイベックスの邦楽制作が始まっているんです」と松浦は証言する。』(出典:芦崎治,2005,『avex way 1988-2005』エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社,pp.170-171.)


Original Release Date

安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S

”TRY ME~私を信じて~”

CD:TODT-3421

East World,Universal Music LLC.

1995.1.25



oto-hako EUROBEAT Pavilion ♯010

【J-EURO】TRY ME~私を信じて~ / 安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S(1995)

Text & Edit by Kouki.S & Yuika.T