【J-EURO】来たれ!暁の同志 / 上坂すみれ(2014)

 人気アニメ「ポプテピピック」などに出演する女性声優、上坂すみれ。ロシア(旧ソ連)やポップカルチャーに増資が深く、声優・歌手としての活動だけでなく、故櫻井孝昌や大槻ケンヂをはじめ、幅広い分野の著名人とのコラボレーション活動も広く知られている。

 「来たれ!暁の同志」は上坂すみれ本人の強い希望で制作されたユーロビート・チューン。『SUPER EUROBEAT』シリーズが『Vol.100』を目指していた時期を彷彿とさせる激しいテンポとシンセのリフ、そして、90年代のダンスミュージックで多用されたサンプリングヴォイスとオーケストラヒットが彩るド派手なサウンド。CD、音楽配信の他、2016年にはコレクターズ・アイテムとして、ジャケット付き7inchアナログ盤もリリースされた。

 MVは実写とアニメーションを融合させたストーリー性の強い作品。ロシアの民芸品として知られるマトリョーシカをモチーフにした演出、ビルボードが並ぶ都市、宇宙空間、デコトラ、ヤンキー、動物、謎の生命体などの表象が目まぐるしく提示され、見る者は思わずカオスな世界観に引き込まれてしまう。こうしたダンスミュージックとSF的なアニメーション映像の組み合わせは、Daft PunkやKEN ISHIIのMVを彷彿とさせるもの。かつてのクラブカルチャーへのオマージュとしても楽しめる。


 初めて買ったCDは『Cyber Trance』シリーズという上坂すみれ。4つ打ちのダンスミュージックは彼女のルーツ・ミュージックのひとつだと言える。上坂すみれは自身が歌うユーロビートについて、楽曲リリース時のインタビューで次のように語っている。


 『元気よく、はつらつとユーロビートのお姉さんみたいな感じで頑張ろう!と思ったんですが、そんな雰囲気がさっぱり出なくて(笑)。歌詞に「Hey! Hey! Come on」というフレーズがあるんですけど、あの歌い回しにしても、ユーロビート姉さんは天才なんですよ!その言葉だけで”自分には友達が100人以上います!”っていう雰囲気が出ていて、お姉さんの人生や人柄が歌に出ているというか。だから今回は、ちょっとキャラソンっぽいテイストにもなったんじゃないかなと。全然ユーロでもビートでもない私が歌うことで、違和感があるけど今っぽいというか、ちょっと二次元っぽい感じになったなと、自分で聴いて思いました。』(出典:山口哲生 取材・文,2014,「表現者の気持ち。上坂すみれ」『Trickster Age Vol.12』徳間書店, pp.42-49.)


Original Release Date

上坂すみれ

”来たれ!暁の同志”

CD: KICM-91524,KICM-1525,7inch:FJEP-4

KING AMUSEMENT CREATIVE,King Record

2014.7.16



oto-hako EUROBEAT Pavilion ♯002

【J-EURO】来たれ!暁の同志 / 上坂すみれ(2014)

  Text & Edit by Kouki.S & Yuika.T